チャネルの雑記

いろいろ語りやーす

【58】片方の目が白内障になりますた【3】

最後でございます。

 

 というわけで決戦の日である。クリニックは自宅からほど近いので付添人はなしでもよかったようだが、念には念を押して仲の良い先輩に一緒に来ていただいた。遠いところから本当に申し訳なかったが、おかげで緊張がだいぶほぐれたのも事実だった。

 

 前日と当日の朝に点眼薬を打ち、いざクリニックへ出発。受付をすまし、待合室でしばし待機。

 

 

いまはもうお盆ですけどね

 手術は受付から2時間後の予定であった。じゃあその2時間何をするのか、ジャンプでも読んで爆笑してりゃいいのかというともちろんそんなことはない。まだまだ点眼薬を打ちまくるのである。

 確か、4種類だっただろうか?5分たったらピチャッ。また5分で次のをピチャッ。これをひたすら手術前まで繰り返すのである。瞳孔を開いたままにさせる?とかいろいろと手術の前に準備が必要なのだそう。

 

 そんなに目薬を打つとなれば、まさに私の目は湖、まるでカスピ海のようにあふれんばかりのきらめき。ちなみにカスピ海がどこにあるか知らないしきれいかどうかも全く知らない。知っているのは「カスピ海ヨーグルト」はおいしいということ、ただそれだけである。

 

 とにかく潤いたっぷりだ。まさに臨戦態勢、テレビで流れている春のセンバツ高校野球を横目に緊張は高まる。

 

 で、手術予定時間の40分前ぐらいだっただろうか?看護師の方が来て、目の状態をチェックしていただいた。すると、

 

「あ、目薬効いてますね。それじゃ、この目薬はいいんでこっちをもう打っちゃってください」

 

 どうも目薬がけっこう効いてるので、ペースを早めるようだ。どうも手術は予定より早く行われそうな感じである。

 そのとき、手術室のほうから前の番の患者のご老人が出てきた。まあ見たらちょっとびっくり、なかなか立派な眼帯をつけていらっしゃる。時間は短い手術といえど、やはりなかなかすごいことをするもんだという気持ちになったのを覚えている。

 

 そしていよいよ自分が手術室へ向かう番だ。看護師さんに給食当番の帽子みたいなものを渡されて髪をガードし、いざ一人で部屋へGO。くぅ~、恐ろしいぜ!揚げパン食いてー!

 

目のレンズを変えてもワイはワイ

 

 

 5分か10分ぐらいだろうか、中の待機席で待つ。そして自分の番である。

手術室はどんな感じかというと、ドラマでよくあるようなあの感じである。バカでかいライトが「ガチャン」という音とともに光り、周りを執刀する先生、また看護師の方々が取り囲む。

 

 手術する左目以外はまず完全に覆い隠す。そして左目は、無理やりにでも開くようにする道具みたいなのをつける。さあ、後には戻れない。まあここで、「すみません、やっぱやめます!!ぼくおうちにかえりたい!!」とか言ってしまったらやばいやつである。先生や看護師の笑い声はクリニックの外どころか最寄り駅までもこだまし、きっと日が変わるまで鳴りやまない。まさに末代までの恥。そんなことは避けなければならぬ。

 

 ということで手術開始。手術中はひたすら点眼薬、というか麻酔薬?を垂れ流す。そのため、ひたすら涙を流しているような状態である。

 そして、頭上のライトはあまりに強く光る。そのため、まぶしいを通り越してもうよく見えない。なんか水の中にゴーグルなしで入ってさらに太陽光を当てられているかのようだ。天津飯、お前の頭はあまりにもまぶしい。

 

 まあ実はこのひたすら流れる点眼薬とまぶしいライトのおかげで、目は開いていても何をやっているかわからないから恐怖心は和らぐのである。執刀の道具を目なんかに向けられていると考えると恐ろしくなるが、実際はよくわからない間に終わってしまうのである。

 

 なんかよくわからんが手術は順調に進んでいる様子。ベテランオジサマ執刀医の落ち着いた声が聞こえる。で、途中で網膜のチェック。もしここで不具合があれば、大学病院に移ってもっと大きな手術を受けなければならないのだ。

 

 なにやら道具を押し当てられ、上下左右チェックしておられる。ちょっと押した瞬間に、まさに理科の写真で見たような「神経」が見えるのがこわかった。ひえ~、ニューロン

 

 そしてチェックが終わるとオジサマがぼそり、

 

「網膜は大丈夫です。このあと眼帯つけますね」

 

 うおおおおおおおおおおお!!!無事通過!私を乗せた午後3時東京発の「のぞみ」は、ついに小倉を出発し博多へ向かおうというところだ。九州の方が手を振ってくれている、ありがとう、ありがとう。どうやら末代までの恥にはならずに済みそうだ、今のところは。

 

 ということで手術は終了、左目に眼帯というか包帯をして手術室を出る。30分弱我慢していた精神は衰弱していたようだが、気分は晴れやかというもの。付き添いのせんパイにはその後ガストでごちそうになってしまった。いやはや、かたじけなし。

 

 無事自宅に帰還。まず手術当日は風呂に入ってはいけない。というか一切の水を浴びてはいけない。さらにその後一週間、顔をバシャバシャ洗うことは許されない。首から下はシャワーをして、顔はウェットティッシュでやさしく拭くだけにとどめる。乾燥肌の自分には辛いし掻きたくなることももちろん1度や2度ではなかったが、我慢して無事目が治るならばとしっかり耐えた。夜はプラスチック製の簡単な眼帯でガード。できるだけ快適に寝られるようにこころがける。

 

 ちなみに手術後つけられた眼帯は、翌日の診察ですぐに外してもらえる。あまりに普通に外されてびっくりする。

 

 「はいじゃあ外しますね~」

 

おお軽い。こんな軽いノリで外してもらえるものなのか。そして光が入ってくるとーー

 

 

!!!!!!!!!

 

おお、見える、見えるぞ!!くもりなき世界!銭湯じゃない!

 

 実際にはしっかり視力が安定するまでは1か月ほどかかるのだが、とにかくちゃんと見える!しかも視力自体は手術前よりよくなっている。まあそれで0.3ほどだが、自分にとっては十分だ。

 

 これはしょうがないことだが、手術後の目というのは遠視のような状態になる。要するに老眼である。まあもともと「おじいちゃんみたいだね」といわれるぐらい老けてるし、むしろ目が体に追い付いてきたと言っていい。右目は正常なので、そんなに大きく影響があるというわけでもない。

 

 かくして、私の左目は復活いたしました。手術をしてくださったお医者サマには本当に感謝、感謝である。その後の診察は、執刀してくださった先生が当たってくれたわけではなかったので、直接お礼をもう上げることはできなかった。「オジサマに『ありがとうございました』とお伝えください」と頼んで、3か月の術後の点眼薬を打つ期間も終了。完全復活というわけである。

 

 実は夜などになると、左目にわっかみたいなものがかすかに映ることがある。これは「フレア」と呼ばれる現象で、どうしてもしょうがないもののようだ。実際、慣れた。なにか能力を発動しているようで、自分の性格にはぴったりかも…しれない。フハハ。キモ。

 

 

 

 以上が今回の白内障発覚~治療までの流れです。私はアトピーを患っているというのも大きく関係しているでしょうが、だんだんと若い方の症例も増えているとのことです。次は右目かもしれませんしね。ま、無事なんとかなってよき、ということで。

 

 

 

 なんとここまで読んでくださったのですか。ありがとうございました。

 

それでは!